七と熊猫のお喋り日記

七(ナナ)と熊猫(シャンマオ)の会話形式で送るブログという皮を被った別の何か。

三国志とか項羽と劉邦とか蕭何

ナナ「今日は中国の歴史の中で主人が最も尊敬している人物、蕭何(しょうか)の話をしようか」

シャンマオ「その方は以前ナナが勧めた『龍師の翼』の2巻にも出ていましたわね」

ナナ「そうだね。
三国志項羽と劉邦などの中国の歴史と言えば優れた武将や将軍が一騎当千したり、策で不利な状況を一転させたりというのが多いよね」

シャンマオ「そうですわね。
関羽呂布といった猛将や孔明のような軍師ですわね」

ナナ「そうそう。
で、この蕭何という人だけどそういう武功(戦で挙げた功績)が全くない」

シャンマオ「え・・・無いんですか?」

ナナ「無いね。
まず戦に出ないからね」

シャンマオ「え、戦に出ないんです?」

ナナ「基本的に後方の城で事務仕事してる」

シャンマオ「そんな人がスゴいのですか?
よく分かりませんね」

ナナ「ところが主人だけでなく、主君の劉邦も戦争に勝った後の功労者の1番に蕭何の名前を挙げているんだ」

シャンマオ「後方で事務仕事していたのに1番の功労者ですか?
それは前線で戦った兵たちから苦情が出たのでは無いですか?」

ナナ「確かに出たんだけど、そんな輩を劉邦は一喝したんだ。
蕭何がいなければこの場にいる人間の半分は死んでいたとね」

シャンマオ「どういうことですか?
いい加減に教えてほしいですわ」

ナナ「そうだね。
蕭何がやっていた後方の仕事とは兵糧の管理及び輸送、兵舎の設営、軍資金の管理といった事なんだよ」

シャンマオ「後方支援ばかりですわね。
やはり地味というか何というか」

ナナ「文字だけ見るとね。
しかし、これらはとても大事なことなんだよ。
だって食べ物が無ければ飢えて死ぬしかないし、兵舎も無くて野宿にでもなれば体調崩してまともに戦えない。
資金が無ければ兵糧、馬、武具の一切が手に入らないんだから。
人間を兵士にして戦わせるにはどれも欠けてはならない事だよ。
相手の項羽や後の三国志の英雄達もこれらの問題については常に頭を悩ませていたからね」

シャンマオ「それは分かりますが、だからと言って功績一位になるようなものでしょうか?」

ナナ「そこを知るには劉邦軍の成り立ちを考えた方が早いかな。
劉邦の軍は最初は弱小だったんだよ。
それでも稀代の軍師 超良を得て勝っていったんだ。
兵も弱く数も少ない劉邦が強くなるには相手の敗軍を吸収していく必要があった。
そこで蕭何は吸収した兵士も含めて必要な兵糧や兵舎がどれぐらい必要か計算していたという。
そうして膨れ上がっていく劉邦軍を支えながらも安定した兵糧を送り続け、かつ城の民達も気にかけて劉邦軍の全てを飢えさせなかったと言われているんだ。
この為劉邦軍の兵士は略奪に走ることも無く評判はうなぎ登り、相手の目から見ても明らかに居心地が良く見えた訳だ。
これらの要因も重なり劉邦軍の敵は次々と降伏して仲間になっていったんだ」

シャンマオ「将軍が活躍するにも軍師が策を用いるにも人が要になりますからね。
その大元を集めて維持していたというわけですね」

ナナ「そうだね。
その後も秦を打倒した際に皆が金銀財宝に走る中、一人資料室に向かって地図や人口などの国造りに必要な資料を持ち帰り漢帝国の礎を築いたこと。
関中に左遷された後そこで政治の手腕を振るい国を安定させながら、遠征する劉邦に兵糧と兵士を送り続けたこと。
兵卒に過ぎなかった韓信を推挙したこと(一兵卒の韓信を大将軍に抜擢した劉邦もスゴい)
項羽に負けて敗走した先の城にこれでもかと人と兵糧を送り続けたことなどなど。
本当にこの人がいなければ半分は死んでいたとかじゃなくて、確実に劉邦は天下を取れていなかったと思うよ」

シャンマオ「一見すると地味ですが、本当にこの蕭何という人がいなければ勝利する事は無かったのですね。
ここまで聞くと本当に素晴らしい人物だという事が分かりますわね」

ナナ「縁の下の力持ちっていうけど、戦時中の国を一つ安定させる程の力持ちってのは考えられないよね。
内政に関してこの人の右に出る人はいないだろう」

シャンマオ「私も話を聞いて尊敬の念が湧いてきましたわ」

ナナ「項羽と劉邦の話には必ず出てくるから、この話を考えながら読むとより理解できて楽しいかもね」

シャンマオ「そうですわね!
では、先ずは本宮ひろ志先生の赤龍王から読んでみますわ」

ナナ「いや、歴史もので元宮作品はちょっと・・・読むなら横山光輝先生にしておきなさい」